自己主張は強いが気が弱い子どもへの対応

自己主張が強い子どもと気が弱い子どもは一見すると正反対の性格であるように感じます。しかし、自己主張が強くても気が弱い子どもはたくさんいますし、気が弱いからこそ自己主張をすることで自分を奮い立たせているという場合もあるのです。保育士として子どもと関わっていると、どうしても自己主張が強い面ばかりに目がいってしまいますが、自己主張の影に隠れた気の弱さに気付いて対応してあげることは子どもの成長への手助けとなります。対応の方法を見ていきましょう。

自己主張が強い子どもとは?

自己主張とは自分の気持ちや意見を言葉や態度で表し、相手に伝えようとすることです。

自我の芽生え(イヤイヤ期)

自我が芽生える1,2歳の頃から子どもは自分の思いを周りの大人に伝えようとします。
ただ、上手く自分の気持ちが伝わらない苛立ちから、癇癪を起したり周りから見るとわがままのように見える状態になることもあります。自己主張の激しい、いわゆる「イヤイヤ期」です。

イヤイヤ期が落ち着く時期は、周りの環境や子どもが持って産まれた性格によって個人差が大きく、3歳ごろになると自分の気持ちを落ち着いて相手に伝えることができる様になる子どももいれば、4,5歳になっても自分の気持ちを前面に出す子どももいます。

自己主張を受け止めてもらえる経験

周りの子どもと比べる必要はないのですが、保育園という集団生活の中で自己主張が激しい時期が長い子どもは「自己主張が強い子」と思われることが多くなるのです。

自己主張は子どもの育ちにとって大切なことです。自己主張を周りの大人に受け止めてもらえたという経験から、相手を思いやる気持ちが芽生えたり時には我慢をすることも覚えていきます。

しかし、自己主張を受け止めてもらえない経験を繰り返すと、自己主張を全くしない子どもに育つか、相手の意見を聞かずに自分の主張ばかりを押し付ける子どもになる可能性もあります。

自己主張は強いが気が弱い子どもとは?

気が弱い子どもとは…

  • 自分の意見や行動に自信がなく相手に意見や気持ちを伝えることができない
  • 嫌なことを「イヤ」と言えない
  • とても慎重で新しいことに挑戦するまでに時間がかかる
  • 失敗することに敏感で落ち込むことが多い

自己主張が強い子どもとは反対のように感じますね。しかし、自分の自信のなさを隠すために周りの友達に対して強い態度をとる子どももいます。実は、失敗したことに落ち込んで自信をなくしているけれど、それを周りに伝えられないという子どももいるのです。

自己主張は強いが気の弱い子どもへの対応

まずは子どもの主張をじっくりと聞いて受け止めてあげましょう。年齢は関係ありません。自分の意見をしっかりと聞いてもらえたという経験は子どもの安心に繋がります。しかし、何でも子どもの意見を受け入れるわけではありません。

まずは主張を聞く

例えば、友達が使っていた玩具が使いたかったという主張は聞きますが、だからと言ってすぐに玩具を使えるわけではありません。友達が使い終わるまで保育士も一緒に待ちます。

3歳以上児になると、保育士が間に入らなくても子ども同士でのやり取りが増えますが、自己主張が強い子どもの中には強い態度や口調で意見を言うことで、自分の意見が通ると勘違いをしてしまう子どももいるからです。そんな時には、相手の気持ちを考えられるような声掛けを心掛けましょう。

安心感で自信につなげる

自分の自信のなさを自己主張でカバーしようとしている子どもには、子どもが自分から挑戦したことを一緒に喜んであげてください。自己主張ではなく、自分が頑張っていることを先生は見てくれているという安心感が自信に繋がります。失敗をしたとしても、挑戦をしたという行動自体を認めてあげてくださいね。

できれば、子どもができることよりも少し難しい活動を取り入れてあげると良いでしょう。あまりにも難しい活動はやる気がなくなってしまいますが、少し頑張ればできる!という活動ですと時間は掛かったとしても、取り組んでみようという思いが芽生えます。

相手の気持ちを先に聞く

また、友達と意見の食い違いで言い合いになった時には、順番に意見を言えるように対応しましょう。気が弱い子どもの中には、相手に違う意見を言われることを恐れて自分の主張を強く述べるという子どももいます。

相手の意見も聞いたうえで自分の意見も言う、という経験をすることで「相手の意見を聞くことは怖いことではない」と思えるようになりますよ。

「自己主張が出来る子どもと出来ない子どもの育ち」について

自己主張が強いからと言って気持ちも強い訳ではありません。自信のなさや失敗に対して落ち込んでいる気持ちに保育士が気付いてフォローをしてあげることで、子どもはいつでも自分のことを見てくれているという安心感を持つことができます。自分の気持ちに気付いてもらえた経験から、相手の気持ちを考えることも出来るようになるのです。子どもの育ちにとって大切な自己主張を大切にしながら、その先の子どもの思いにも気付いてあげたいですね。