自己主張ができる子どもの育ちとは
自己主張ができるということは、自分の思いを周りの人に伝える事ができるということです。例えば、使いたい玩具があった時に友達に「おもちゃが使いたいからかして」と言えるということ。皆で遊びを決めている時に、自分がやりたいことをクラスの皆に向けて伝える事ができるということ。また、トイレに行きたい時や体調が悪いことを保育士に自分で伝えられるということも自己主張ができるということです。
この自己主張を育てる為には、2つのポイントがあります。
- ●子どもの話をじっくりと聞いてあげること
- 何かを伝えようとした時に、大人にしっかりと聞いてもらえたという経験は子どもの自信に繋がり、自分の思いを周囲の人に伝えようとする意欲が育ちます。
- ●子どもが望んでいることをなんでも先回りして、援助してあげない様にすること
- 子どもが自分の望みや思いを口に出して伝える前に、何でも大人が叶えてしまうと、周囲の人に自分の思いを伝えようとする意欲が育ちません。
子どもの気持ちを察することも大切ですが、何でも手助けをしてしまうのではなく子どもが自分で伝える事が出来る様に「待つ」ことも大切なのです。
自己主張が出来ない子どもの育ち
自己主張が出来ない子どもの中には、自宅では自分の思いを両親に伝える事ができるけれど保育園では伝える事ができないという子どもと、自宅でも自分の思いを伝える経験をほとんど出来ていない子どもがいます。
- ●自宅で自己主張が出来ている場合
- 保育園という大勢の子どもがいる中で周りの子どもの勢いに押されてしまう。大人しく手が掛からない事で、保育士との関りが少ないという場合があります。その様な様子が見られたら、意識的に子どもとじっくりと関わる様にしてみましょう。保育士に心を開き、自己主張が出来る様になると集団の中でも自分の思いを伝えられる様になっていきます。
- ●自宅でも自己主張が出来ていない場合
- 両親が忙しく話を聞いてもらえる状況ではなかったり、子どもなりに気を遣い萎縮してしまっている可能性があります。子どもの育ちの為に保育士が出来る事は、子どもがいつでも話ができる環境を整えることです。少しでも自己主張をしてくれたら、「思っていることを話してくれて嬉しい」ということを伝えてあげましょう。自分の話を聞いてくれるという安心感を持ってもらうことが大切です。
自己主張が出来る子どもと出来ない子どもとの関わり方
保育園という集団生活の中では、必ず自己主張が出来る子どもと苦手な子どもがいます。保育士はその両方の子どもの姿を把握して適切に関わることが必要となります。
自己主張が強い子
自分の思いを周囲に伝えられるということは素敵なことですが、必ずしも自己主張が出来ることだけが良い事であるとは限りません。
自己主張が強いことで自分の思いばかりを通そうとして、友達の意見を聞けない子どももいれば、自己主張は苦手だけれど周りの意見にしっかりと耳を傾けて冷静に判断できる子どももいます。自己主張が出来る、出来ないという一括りには出来ないのです。
まずは、子どもがどんな姿であっても良い所を見つけて認めてあげましょう。その上で、子どもの育ちに必要な部分を手助けしてあげる必要があります。
自己主張が強くて周りの意見が聞けない子どもには、自分の意見を言うだけではなく友達の意見を聞く経験が出来るような機会を意識的に設けてあげると良いでしょう。友達の話を遮って、自分の思いを話したがる場合には「今は〇〇ちゃんが話しているから、待っていてね」と伝えて待つ経験も大切にします。友達が話し終わったら、今度は思い切り話が出来る様にしてあげてくださいね。
自己主張が苦手な子
自己主張が苦手な子どもに、「もっと自分の意見を言ってね」ということは苦痛でしかありません。
まずは、じっくりと関わり保育士との関係を作る事から始めましょう。保育士に自分の思いを話してくれる様になってきたら、集団で遊んでいる時にも何気なく「〇〇くんはどう思う?」と自分の意見が言える場を作ってあげると良いでしょう。あくまでもさり気なく尋ねることがポイントです。少しでも自己主張が出来たという経験は子どもの自信に繋がりますよ。