現実と空想が入り混じった嘘
子どもは時に、空想と現実との区別がつかなることがあります。
例えば、「大切なぬいぐるみとお話ができたらいいのに」と考えているうちに、本当にぬいぐるみがしゃべったと周りの人に話をしたり、絵本の世界と現実が入り混じって絵本の物語の中に自分がいるかの様に話すこともあります。
大人から見ると実際に起きていないことを起こっているかの様に人に伝える嘘であるようにも感じますが、本人は嘘をついているという感覚はありません。
空想と現実が入り混じることは成長の中ではごく自然なことなので、全く心配のいらない嘘です。成長とともに減っていきますので、温かく見守ってあげましょう。
自分を認めてもらいたくてつく嘘
周りの大人に褒められたい、みとめてもらいたいと思う時にも子どもは嘘をつきます。
例えば、自分で作った物ではないのに「これは僕が作ったんだよ」と保育士に見せたり、「かけっこで1番だった」と言うなど保育士に褒めてもらいたいという思いからくる嘘です。
このような嘘が多い子どもは、自分を認めてもらいたい、もっと自分を見て欲しいという思いを強く持っています。嘘をついたことに対して、「それは違うでしょ」など子どもを否定する対応は控えましょう。
普段の保育の中で子どもが頑張ったことを思い切り褒める、子どもの話をじっくりと聞き「ちゃんと見ているよ」ということを態度で伝えることが大切です。
また、保育園での子どもの頑張りや成長を保護者に伝え「お家でもたくさん褒めてあげてくださいね」という言葉を添えましょう。保育士だけではなく、お父さん、お母さんも自分のことを見てくれている、認めてくれていると感じると、自然と嘘も減っていきます。
自分の失敗を隠すための嘘
自分が何かを失敗した時や友達との関りの中でトラブルになった時に、周りの大人に叱られないようにつく嘘です。
例えば、友達とけんかになった時に「〇〇ちゃんが先に叩いたんだよ」と言ったり、物を壊してしまった時に「僕(私)じゃないよ」と嘘をつくことで自分を守ろうとすることがあります。叱られないようにするための嘘は、嘘をついた時の対応も大切ですが、日ごろの子どもへの接し方も振り返る必要があります。
嘘をついた時の対応
嘘をついた時には、まずは子どもの話を聞きます。しかし、友達とのけんかの時には相手との意見が食い違いますし、物を壊してしまったなどの嘘も周りで見ていた子どもがいた、保育士が見ていたなど意外とすぐに嘘はばれてしまいます。
そんな時には、頭ごなしに叱るのはやめましょう。嘘をついたのは子どもが自分を守るためです。そんな中で保育士に叱られてしまうと、子どもは次からもっと上手に嘘をつこうと考えるようになります。
子どもには叱るのではなく、物を壊したり失敗したことよりも嘘をつくことの方がいけないことなのだということをゆっくりと話をしましょう。「嘘をつくのはいけない子」など、その子自身を否定する言葉はつかいません。あくまでも嘘をつく行為のみにスポットをあてて、穏やかに話をしてくださいね。
言葉掛けの振り返り
そして普段の保育の中で、必要以上に子どもを叱っていないか、子どもが失敗した時に励ますような言葉を掛けてあげられているかということを振り返ってみましょう。嘘をついて自分を守る必要がなければ子どもは嘘をつきません。
保育園での対応で思い浮かばなければ、自宅で保護者が厳しい、子どもが失敗してはいけないと感じるような環境である場合もあります。
そんな時には、1度は失敗したけれど励ますと諦めずに最後まで頑張れたなど、子どもが失敗した時に保育士がどの様に関わっているか、その時の子どもの成長を伝えてあげると良いですね。