保育士の平均年収とは?
仕事量と賃金が見合っていないと言われることが多い保育士ですが、具体的な平均年収はどの程度なのでしょうか?常勤保育士について見ていきましょう。
20~24歳 | 25~29歳 | 30~34歳 | 35~39歳 | 40~44歳 | 45~49歳 | 50~54歳 | 55~59歳 | |
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2000年 | 2,785,600円 | 3,420,700円 | 3,769,000円 | 4,017,900円 | 4,316,200円 | 4,856,300円 | 5,403,600円 | 5,967,400円 |
2005年 | 2,581,100円 | 3,108,700円 | 3,346,900円 | 3,596,100円 | 3,815,800円 | 4,121,200円 | 4,045,600円 | 4,977,500円 |
2010年 | 2,641,900円 | 3,037,300円 | 3,251,100円 | 3,519,700円 | 3,488,900円 | 3,579,300円 | 4,193,700円 | 4,357,100円 |
2015年 | 2,694,700円 | 3,046,800円 | 3,129,500円 | 3,346,200円 | 3,521,200円 | 3,661,300円 | 3,738,600円 | 4,065,200円 |
2016年 | 2,679,300円 | 3,113,300円 | 3,270,100円 | 3,337,100円 | 3,663,900円 | 3,483,300円 | 3,512,400円 | 3,809,500円 |
この表によりますと、2000年から2016年の15年ほどの間に保育士に支払われる賃金は大幅に低下しています。特に、ベテラン保育士が多い30代以上の賃金低下が顕著です。
キャリアによる給与が上がらない事も原因
30代後半では約68万円、40代前半では約65万円、40代後半では約137万円、50代前半では約189万円、50代後半では約216万円もの賃金が2000年の平均年収よりも2016年の平均年収においては下がっているのです。
そして、2000年には年齢ごとに右肩上りであった年収が2016年にはほぼ横ばいの形へと変化しています。2000年には、20代前半で約278万円である平均年収が50代後半では約596万円となります。しかし、2016年には、20代前半で約267万円である平均年収は50代後半で約380万円です。
この結果から保育士の離職率の高さは、賃金の低下はもちろんですが、キャリアと共に賃金が上がらないということも1つの要因であると言えるでしょう。
一般労働者との収入の違いは?
保育士の賃金の低さが騒がれているのは、保育士以外の職業で働く人との差にもあると言われています。では、保育士と一般労働者の収入にはどのくらいの差があるのか、具体的にご紹介します。
この表から分かるように、保育士の月額所得内給与(月収から残業代などを引いた給与)の割合として1番多いのが、18万円から19.9万円で、次いで16万円から17.9万円となっています。20万円に満たない割合が約47パーセントにのぼっているのです。
一般労働者との比較
一方、一般労働者全体の月額所得内給与としては、20万円に満たない割合は約22パーセントと保育士の半分以下です。
すべての職種を含めた平均ですので、この表から一概に他の職種よりも保育士の収入は低いと言うことはできません。実際に保育士よりも低賃金の職種はあります。しかし、一般労働者全体の中では、保育士は低賃金であるということは事実であると言えるでしょう。
保育士不足解決に向けての政策
保育士不足を国全体の問題として、厚生労働省は保育士不足解消のための政策を打ち出しています。民間保育園で働く保育士への給与改善策として、平成29年度4月より実施された政策を詳しく説明します。
保育士の給与を平均2パーセント改善(月額6千円程度)する。更に、キャリアアップの仕組みを作り、技能・経験に応じて月額5千円から4万円の給与改善を行うという政策です。キャリアアップの仕組みとは、園長、主任の他に副主任、専門リーダー、職務分野リーダーという役職を作りそれぞれの役職に合わせた給与を支払うというものです。
保育士全体の給与改善と共に、キャリアアップの仕組みによってそれぞれの役職に経験年数が考慮されるので、年齢によって給与の上り幅が少ない保育士にとっての改善策となるという期待もあります。