子どもたちが満面の笑みで「先生一緒にあそぼ」と駆け寄ってきてくれるのは、保育士にとってとてもうれしいですね。保育士と子どもとの信頼関係が出来ているからこその、この言葉。しかし、常に保育士としか遊ばない子どもがいたらどうでしょうか。対応に困ってしまうかもしれません。今回はそんな子どもへの対応に迫ります。
友達が少ない?先生に声をかける子どもの気持ち
いつも保育士のそばにくっついて友達と遊ぼうとしない子どもや、「先生一緒にあそぼ」と自由時間に常についてくる子ども。
保育士としてはうれしい反面、友達とうまく遊べないのかと心配になってしまうこともありますね。そんな時は、子どもの発達を見据えて、その子どもが今どんな発達を遂げているのかを見極めましょう。
並行遊び、連合遊び、共同遊び
子どもが今どの発達過程にあるのかを見極められてこそ、保育士の仕事と言えるでしょう。
また、発達だけでなく、家庭環境にも目を向けることが大切であり、家庭でお父さんやお母さんに十分に甘えられない、愛情不足を保育士に求めている可能性もあります。
そのような場合は、保育士が時間をかけてじっくり向き合って遊ぶことも、時には必要となり、子どもの気持ちをしっかり受け止めた上で、今ある発達・家庭環境を踏まえて対応していくことが、大切ですね。
先生と一緒に遊ぶ子より友達と遊ぶ大切さ
問題なのは集団で遊ぶ年齢になっていても、いつまでも友達と遊ぶことが出来ない場合で、子ども自身も本当は友達と遊びたいけれど、関わり方がわからないと思っているかもしれません。
頭ごなしに「友達と遊んでおいで」と突き放すのは禁物です。
子どもの気持ちを十分に理解して、保育士と遊びたい気持ちを大切にしながら、少しずつ友達同士が関わることできるような遊びを通して、友達との遊びを促していくのが効果的です。
集団での関わりが必要な年齢にとって、友達との遊びはとても大切。時に、自分の思い通りに遊びが進まない中で、けんかをしたり、葛藤したり、我慢したり、いろいろな人間関係を学びます。
友達との関わりを通してこそ、ルールなどの生きる力も学ぶのです。
友達と関わりやすい遊びは?
友達との関わりを促しやすい遊びの1つに、ごっこ遊びがあります。
一口にごっこ遊びといっても、家族ごっこからお店やさんごっこまで様々ですが、お店やさんごっこのように、売る人と買う人の役割が明確になっているものなどは、友達との関わりが苦手な子どもにも、参加しやすい遊びです。
年長児では、郵便屋さんごっこもおススメ。
保育室内のポストに出されたお手紙を係の子どもがお届けに行くので、1日だけでなく、1か月を通じてごっこ遊びを計画してみると、子どもに変化が見られるかもしれません。
ごっこ遊びを通じて、自分の思いを相手に伝えることができるようになったり、相手の気持ちを考えて協力することが出来るようになったり、友達と関わる力が自然に育まれます。
友達同士遊べるようになった子どもは、生き生きといろいろな遊びを展開していきます。子どもが保育士としか遊ばないのは、発達の状態、愛情不足等、様々な要因があります。すぐに決めつけてしまうのではなく、子どもの今の状態を見極めて援助できる、そんな保育士でいたいものですね。