自己主張とは、「自分の気持ちを表現する、相手に伝えることが出来る」ことを言います。それは、「自己主張」?「我儘」?そのラインの見分け方は保護者と子どもの関わり方にも重要な手掛かりがあるようです。
自己主張が強い子どもをもつ保護者
保護者の方から「この子自己主張が強くて」という相談を受けることがあるかとおもいます。特に1歳~幼児期にかけてが多いでしょう。
自己主張があることは、自分の感情・意思表示が出来ているのでとても良いことです。ですが「これは…自己主張?わがままではないのかな?」と感じてしまう時もあります。保育士がその子どもに対して、自己主張もしくはわがままがと、感じるという事は保護者の方はもっと手に負えなくなっているのかもしれません。
今まで、親の言う事を聞いていた子どもが、動けるようになり、言葉で話せるようになり、子どもの表現の仕方は様々ですが、自分の思いを伝えてくるようになります。すると保護者もペースを乱されイライラが溜まってしまいます。
そうなると、耳を傾けず、子どもの気持ちを否定してしまったり、怒ってしまうなどの対応で、子どもの気持ちが「わがまま」もしくは「自己主張が出来ない」子どもになってしまいます。
振り返ると見えてくること
本来、子どもは素直に気持ちを表現することが出来るはずなのです。
「欲しいものは欲しい」と言えるのは子どもの特権ですよね。しかし、いつも要望が通ることばかりではないのが世の常・・・。少しずつ、自分を抑制する力も備わってくるもの。その力がつくか、つかないまま大きくなるのかは乳児期の関わり方で大きく左右してきます。
乳児期に自我の芽生えが出て、自分はこうしたいと表現するようになった時、大人が先回りして何もさせてあげなかったり、「それはわがままでしょ」と何も受け入れてもらえなかったりすると、子どもはやる気を失い表現する事を諦めてしまう傾向にあります。
その反対になんでも子どもの言うとおりに、良いも悪いも子どもの思いのまま聞き入れてばかりいると子どもは言うとおりになることが当たり前、と学んでしまいます。
自己主張が出来ない子どもはどうして?
なぜ自己主張が出来ない子どもになるか。それは、親が子どもの自己主張を受け入れない、わがままと捕らえ我慢をさせる、子どもの悪いところばかり指摘する、子どもの代弁、心配性、先取りママなどが原因です。
親からすると、自分の思い通りに出来るので、子育てとしては楽になるでしょう。でも子どもは一体どの様に育つのでしょうか?
- 言いたいことを我慢する
- 相手の気持ちを思いやることができなくなる
- 自分の意見が言えない
- 人の顔色を見てすぐに意見を変えてしまう
- 失敗を恐れる
- チャレンジ精神がわかない
- 消極的
子どもの気持ちを聞かずになんでも先に行うことを良かれと思っている保護者もいます。自己主張は大切という事を伝え保護者に子どもとの向き合い方を伝えていきましょう。
今からでも遅くない
「自己主張ばかり強くて困っています」と、ダイレクトに伝えると保護者も気分を損ねてしまいます。
まずは、日頃の様子を細めに伝えていき、その中でどのような姿があって、これからどうあって欲しいのかを話していきます。乳児期に遡ってやり直すことは出来ないですが、どの時期からでも経験を積むことは出来ます。
相手の気持ちを無視して、自分の要望だけを叶えられればいいとするなら、それは自己主張とは言えず「わがまま」です。
そうならないように、相手の気持ちを知る、考えるという経験はとても必要なのです。ただただ、我慢すればいいという事も違います。
保護者・保育士共に「いいことはいい。いけないことはいけない。」と一貫することと、どのように対応していくか話していくことがとても重要になってきます。
自己主張をしてくる子どもとの付き合い方
自己主張?わがまま?と、線引きが難しいところですが、どちらでも子どもの気持ちを一度受け止めてあげましょう。
それでも気持ちがおさまらない場合は、「○○がいいね。」と、同じ気持ちになって語りかけましょう。大人の対応で子どもの気持ちは変わります。受け止められたと感じた時に子どもは、自分の事を見てくれている、分かってくれていると思うと、大人の話を聞き入れてくれる体制に入ります。子どもに対応するときは、受け止めてあげる余裕をつくってあげることが大切です。
親・家庭環境の影響が大きく、子どもとのスキンシップをたくさんとり、子どもの気持ちに対して受け入れてあげる体制をつくることを伝えましょう。
もちろん保護者の気持ちに寄り添いながら話しをし、子どもの少しずつの変化を保護者に伝えていきましょう。
自己主張とわがままについての違いはコチラ
保育園での様子は保育士でないとわからないものです。園と家での姿が全然違うという事もよくあります。自己主張が強いという事は、自分の気持ちを表現する力や伝える力を持っている事なのでとてもいいことです。しかし、自分の気持ちばかりを押し通そうとする、相手の気持ちを考えられない・・・となってくると、いい事ではなくなってしまいますね。自分を表現しながら、状況を読み取る力、相手の気持ちを思う力も一緒につけていけるよう、保護者と連携をとっていきましょう。