友達がせっかく作ったブロックや積み木などの作品を、急に壊してしまう子どもがいたらどうしますか?保育士でも、どのような言葉がけをしたらいいのか、時には悩みますよね。今回は、保育所保育指針の子どもの発達に沿って、考え、振り返っていきましょう。
0.1歳は散らかすのが楽しい
幼児への言葉がけを考える前に、まずは乳児クラスの発達を見てみましょう。
2歳未満までの時期は、一人遊びが多い時期です。誰かが作ったおもちゃを壊すという行動も、当然にして悪気も無く、物が崩れるという形の変化や、その時に生じた音など、物に興味を持ち出した成長の現れです。
壊したり、散らかしたりするのが楽しいこの時期は、思う存分壊したり散らかしたりする活動が出来るように、人数分のおもちゃを与えるような環境設定をしていきましょう。
異年齢保育をしていて、大きな子と同じ空間にいて、大事な作品を壊す可能性のある時は、コーナー分けをして、小さな子が大きな子の作品を触れられないようにするなど、物的環境の配慮が必要です。
異年齢保育とは?について>>
2歳児は自己主張~自我の育ち~
保育所保育指針 第2章 こどもの発達
- ●おおむね2歳(2歳の自我の発達について書かれています。)
- 行動範囲が広がり探索活動が盛んになる中、自我の育ちの表れとして、強く自己主張する姿が見られる。
第一次反抗期と呼ばれる時期もこの時期ですね。
友達が作っているものを自分もやってみたい、そんな自己主張から壊してしまうことも少なくありません。
子どもの、自分もやってみたい、そして壊してみたいという探求心を大切にしながらも、友達がせっかく作ったものを壊されてしまったら、どんな気持ちになるかを保育士が代弁して、子どもの気持ちを伝えていきましょう。
2歳児は、平行遊びが中心で、友達と同じもので遊んでいるように見えても、相互に関わりを持たないことも多いです。出来る限り、十分な数のおもちゃを使い、一人一人の欲求が満たさせるようにしてあげましょう。
3歳児以降は集団の関わりが生まれる~友達・仲間意識の芽生え~
保育所保育指針の第2章 こどもの発達の3歳以降を見てみましょう。
- ●おおむね3歳
- 自我がよりはっきりしてくるとともに、友達との関わりが多くなる。
- ●おおむね4歳
- 仲間とのつながりが強くなる中で、けんかも増えてくる。その一方で決まりの大切さに気付き、守ろうとするようになる。
- ●おおむね5歳
- 遊びを発展させ、楽しむために、自分たちで決まりを作ったりする。また、自分なりに考えて判断したり、批判する力が生まれ、けんかを自分たちで解決しようとするなど、お互いに相手を許したり、異なる思いや考えを認めたりといった社会生活に必要な基本的な力を身に付けていく。
- ●おおむね6歳
- 仲間の意思を大切にしようとし、役割の分担が生まれるような協同遊びやごっこ遊びを行い、満足するまで取り組もうとする。
3歳以上の発達で共通していることは、友達との関わり、集団や仲間への意識の芽生えです。
発達とともに、相手の気持ちや、決まりの大切さにも気付くようになりますので、友達のおもちゃを壊してしまう子には、壊されてしまった子の気持ちに気付いてもらえるようにしたいですね。相手の気持ちを代弁するだけでなく、おもちゃを壊されてしまった子にも、落ち着いたら何を作っていて、何が嫌だったのかなど、言葉で伝えてもらうことも効果があります。
また、日頃から、クラスの中でも折に触れ、保育士対クラス全員に向けて、自分がされて嫌なことは、相手も嫌な気持ちになるということを繰り返し伝えていきましょう。
おもちゃを投げる子どもへの対応について>>
大切なのは、まず、子どもの発達に即した接し方をするということです。その上で、作った作品を壊さずに明日も明後日も作ることのできるような保育スペースがあるのも理想的ですね。壊したから叱るのではなく、壊さずに済むような環境作りも大切になってきますね。