株式会社参入で待機児童解消につながるか?今後増える保育園

2021/10/04

1990年代後半以降、社会問題として取り沙汰されている待機児童問題。これを解消すべく、政府はこれまで株式会社の保育園運営に対して否定的であった自治体に対し、積極的に受け入れるよう指導が入っています。これによって待機児童問題が解消となるのか、また、今後増える保育園について考えてみたいと思います。

年々増え続ける待機児童とその背景にあるもの

待機児童問題が取り沙汰されている現在ですが、待機児童問題が著しいのは人口や企業が集まる首都圏がほとんど。その証拠に田舎に行くと待機児童どころか定員に満たない保育園がたくさんあるのです。

全国にある保育園に待機児童を分散する事が出来ればこの問題はすぐに解決するのですが、住所地や就労先の都合上、そんな訳にはいきませんよね。

産休や育休後、経済的な事情等から働く必要がある女性たち。働くためには保育園に預ける必要がありますが、保育園に預けるためにはすでに就労していなくてはいけないというルール。

「働きたいのに働けない」「預けたいのに預けられない」と身動きが取れない女性が多く存在しているのです。

株式会社参入に自治体の壁、社会福祉法人との違いとは

少し前までは認可保育園の設置に関しては市町村や社会福祉法人のみに限定されていたのですが、待機児童問題が明るみに出て始めた2000年以降は株式会社も認可保育園の設置が可能となりました。

社会福祉法人と株式会社の違いは営利団体か、非営利団体かという部分。

また、株式会社の場合は人件費削減のため非正規雇用の職員が多いと言われています。正社員が少ない分、意識的な問題で保育の質が下がる事が問題視されているのですが、近年では福利厚生面も改善され残業も少なく見直されているようです。

自治体でもそういった声は根強くあり、設置主体の制限はなくなっても補助金や税制の格差が社会福祉法人と株式会社では大きく異なります。

2015年4月に施行された保育の新制度では設置主体を問わず設置を認可する事と、社会福祉法人ばかりを優遇する事のないよう公平な制度の運用を自治体に求めています。

今後増える保育園は

現在社会問題となっている、待機児童問題や保育士不足を逆手にとって運営している保育園を一つ紹介したいと思います。

イオンモールの中に併設している保育園。企業内保育園とし2014年12月に開園。現在も従業員の子どもは月極保育を行っており、イオンが運営しているためモールに合わせて365日開園しているため、イオンの従業員であれば安心して働く環境が作られています。

また、この保育園では一時保育や病後児保育も行っていますので、イオンの利用客が子どもを預けてゆっくり買い物を楽しむ事が出来るのも魅力の一つ。

待機児童問題のため、簡単に子どもを預ける事も出来ない保護者やゆっくり買い物等を楽しみたい時にモール内に保育園があるととても便利ですし、イオン側としてもこの保育園がある事で子育て世代の集客も期待できます。

世の中のニーズと企業の利益をうまくマッチさせた画期的な保育園であると思います。

ちなみに嘱託医はモール内にある総合クリニックですので、同じ建物に保育園、病院、保護者の勤め先がある事になります。

今後はイオンの保育園を参考にしつつ、企業内保育園が増加する事が予想されています。優秀な人材を確保するため、企業が独自で保育園を運営出来ると保護者としても安心して仕事をする事が出来るのではないでしょうか。



単純に保育園の数を増やす事が待機児童減につながる訳ではなく、保育園の数と保育士の待遇改善、企業が安心して働ける環境づくりを整備してこそ、少しずつ解消すると思われるこの問題。しかし株式会社の保育事業の参入は現在緩和されつつありますので、株式会社だからこそできる運営方法を行っていく事で良い結果につながるように思います。

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