平成29年4月、厚生労働省が保育士等キャリアアップ研修の実施について示しました。年々、保育士に対する処遇改善がわずかながらなされていますが、今回は、保育士の技能や経験に着目して、更なる処遇改善をすることが目的のようです。新しく出来たこの保育士キャリアアップ研修について、確認していきましょう。
保育士の経験年数によって決まる、キャリアアップ研修対象
保育士等キャリアアップ研修とは、保育士としての経験年数などの要件を満たした場合に、所定の研修を受け、技能を習得することによって、キャリアアップができる仕組みになっています。キャリアアップをすることで、処遇改善が受けられることになっています。
園長、主任保育士、保育士に加え、新たな役職を新設しました。「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」の3つです。
「副主任保育士」の要件
- 経験年数概ね7年以上
- 職務分野別リーダーを経験
- マネジメント+3つ以上の分野の研修を修了
- 副主任保育士としての発令
⇒これらを満たせば、月4万円の処遇改善がされる予定です。
「専門リーダーの要件」
- 経験年数概ね7年以上
- 職務分野別リーダーを経験
- 4つ以上の分野の研修を修了
- 専門リーダーとしての発令
⇒これらを満たせば、月4万円の処遇改善がされる予定です。
「職務分野別リーダー」
- 経験年数概ね3年以上
- 担当する職務分野研修を修了
- 終了した研修分野に係る職務分野別リーダーとしての発令
⇒これらを満たせば、月5千円の処遇改善がされる予定です。
保育士の誰もが対象となる研修ではなく、上記の経験年数を満たした場合に受けることが出来る研修です。対象になっている方は、今担当している分野について、より専門的な知識を深めるチャンスです。
研修で、どのようなスキルアップができるの?
厚生労働省が示した保育士等キャリアアップ研修の分野及び内容によると、研修分野は大きくわけて8つに分かれています。
1.乳児保育 2.幼児教育 3.障害児保育 4.食育・アレルギー 5.保健衛生・安全対策 6.保護者支援・子育て支援 7.保育実践 8.マネジメント
副主任保育士と専門リーダーはそれぞれ、この中から要件を満たすものを受講します。
4つの分野の受講が必要ですので、1つの分野につき15時間以上の研修を4分野受講すると合計60時間以上の受講になります。
職務分野別リーダーは担当する職務分野研修を受講する必要がありますので、15時間以上の受講になります。
保育士として勤務しながら、1分野15時間以上の研修を受講するという負担は大きいですが、受講した分野については、保育の専門知識をより深く身に付けることができますね。研修受講後の修了証については、他の都道府県においても効力を有しますので、転職する際にもこのキャリアアップ研修を受講したということは、大きなアピールポイントになるでしょう。この処遇改善のための研修要件は平成30年度から課されることとなっています。
まだ始まったばかりのこの制度、研修時間も長く保育士の負担も高いように感じられます。ですが、国が保育士処遇改善の第一歩にやっと踏み出したのです。この制度の波に次々と乗って行きたいですね!
このように、保育士のキャリアアップのしくみの構築が、徐々にではありますがなされてきています。
資格を取得することで保育士にはなれますが、保育の専門的技術を身に付けるには保育現場での経験に加えて、このような研修を積み重ねることが大切です。要件を満たしている方もそうでない方も、キャリアアップに向けて、日々経験や研修を積み重ねていきましょう。