准保育士はどんな資格?取得方法

2017/08/02

みなさんは准保育士という名称を聞いたことがありますか。医療分野に、准看護師という資格があることをご存知の方は多いのではないでしょうか。しかし准保育士はまだまだ浸透していないようですね。今回は准保育士について、またその制度について見ていきましょう。

准保育士とは

「准保育士」は、実は実在する資格ではなく、政府が検討中の資格制度の名称です。

2007年の政府規制改革会議にて、保育士の資格取得要件を緩和するよう提言する方針を固め、正式な保育士に準ずる「准保育士」の資格を新たに作ることで、育児経験のある人が規定の研修を修了すれば取得することができる制度が提案されました。

慢性的な保育士不足と待機児童問題における対策ですね。しかし課題が多数残っており、今現在実施されている制度ではないのです。そのため、現時点では取得することは出来ません。

以前は記述式だった保育士試験はマークシート形式に変わりました。

また、年に1度だった試験が2016年度より年に2回の実施に。それでも、保育士試験の合格率は20%弱と、決して高くありません。それには受験科目が9科目と多い上、その全てを6割以上得点しなければならないという理由が挙げられます。

保育士の資格を得るには、専門知識を学び、実技試験にも合格する必要があるため、育児経験のある主婦の方にもなかなかハードルが高いものなのです。

一方で講習を受けるだけで取得できる「准保育士」は、育児経験を活かして保育の仕事をしたい人にはより気軽に働くことができる資格のように聞こえます。

准保育士の数が増えれば待機児童も減るのでしょうか。

准保育士で待機児童は解消される?

一見メリットが多そうに聞こえる「准保育士」ですが、反対意見が多いのが実状。

現在、保育士の資格を持っているのに働いていない潜在保育士と呼ばれる人達が、保育の仕事を希望しない理由は「賃金が合わない」が最多です。(厚生労働省による。)

准保育士は保育士よりも賃金が低くなることは、安易に予想できますので、保育士の処遇改善をしない限り、准保育士の希望者が増えることは見込まれませんよね。

保育の従事者をやみくもに増やすことが、待機児童の解消に直結するとはいい難しいもののようです。

また、講習のみで取得できる「准保育士」の資格は保育の質の低下を招くことが懸念されます。現に全国2万1千の認可保育所が加入している全国保育協議会と全国18万人の保育士を会員とする全国保育士会は、准保育士の導入を反対しています。

近年、子どもを取り巻く環境は大きく変化してきています。

社会的環境、家庭環境や母親の就労形態なども多様化し、基本的生活習慣が身についていない、運動能力の低下、他者とのかかわりが苦手など、いくつもの課題が指摘されているのが現状です。

その中で、保育士はそれらに個別に対応する能力求められます。

また、核家族化が進行することで地域との関わりも減り、子育てが孤立化している傾向にもあります。それゆえ、手厚い保護者支援・子育て支援が必要であり、保育士の仕事の専門性はより一層高度なものが求められているのです。



安易に講習だけで取得できる「准保育士」を増やすことは、保育の質の低下につながります。
料理を毎日している人が皆、調理師や栄養士に向くわけではないことを考えれば、育児経験のある人が皆保育士になれるわけではないのは容易に想像がつきます。
児童解消のための対策は魅力的ではありますが、子ども達の未来のためにも、「質の高い保育」を一番に考えていきたいですね。

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