認可外保育施設の現状は!?状況と新制度

国の認可を受けていない保育施設である「認可外保育施設」。共働き家庭が増え保育園不足が深刻な現代においては、認可保育所への入所ができずに認可外保育施設を利用するという家庭が多く見られます。認可保育所に入所ができなかった子どもと保護者の強い味方である認可外保育施設ですが、認可を受けていないことで安全性に不安が残るという実態も…。そんな中、2015年に施行された「子ども・子育て新制度」。この新制度によって認可外保育施設の実態は変わりつつあります。認可外保育施設の現状を新制度を踏まえて見ていきましょう。

認可外保育施設とは?

認可外保育施設とは、児童福祉法に基づいて国が定めた敷地面積、保育士人数、衛生管理などの設置基準を満たしていない保育施設です。設置基準を満たしていないため、認可を受けることができずに補助金も支給されません。運営は保育料でまかなわれるため、世帯収入に応じて保育料が決まる認可保育所に比べると保育料が高いという実態もあります。

一方認可保育所とは国が定めた設置基準を満たし認可を受けた保育施設です。国や地方自治体からの補助を受けることができます。利用できる子どもは共働きなどの理由から「保育に欠ける」状態でなければいけません。

認可外保育施設は「保育に欠ける」子どもではなくても利用が可能です。ただ、保育園不足が深刻な現代においては、共働きなどで保育に欠ける状態であっても認可保育所に入所ができずに、認可外保育所を利用するということがほとんどです。

認可外保育施設においても、保育所の認可基準をもとに「認可外保育施設指導監督基準」が定められています。しかし、保育従事者の「概ね3分の1以上が保育士又は看護師であること」との記載からも分かるように、認可保育所の設置基準に比べると曖昧でかなり緩い基準となっています。

保育料の面で保護者への負担が大きいこと、そして基準が曖昧なことで安全性に不安が残るという認可外保育所の問題点が見えてきます。

子ども・子育て支援新制度とは?

子ども子育て支援新制度とは、「子ども子育て支援法」「認定こども園法の一部改正」「子ども子育て支援法及び認定こども園法の一部改正法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の子ども・子育て関連3法に基づく制度のことです。

この新制度によって、

  • 小規模保育(利用定員6人以上19人以下)
  • 家庭的保育(利用定員5人以下)
  • 居宅訪問型保育
  • 事業所内保育(主として従業員の子どものほか、地域において保育を必要とする子どもにも保育を提供)

の4つの保育形態が新たに市町村による認可事業(地域型保育事業)と定められました。それまで、子どもの利用人数が19人以下であることによって認可が受けられなかった多くの認可外保育施設が小規模保育として新たな認可施設となり、毎年その数を増やしています。

認可外保育施設の現状

認可保育所不足が続く中で、認可外保育施設は2014年まで数を増やし続け、利用する子どもの人数も増え続けていました。しかし、2015年に「子ども・子育て新制度」が施行されたことを受けて多くの認可外保育施設が新制度の事業などに移行し、2015年には施設数・利用する子どもの人数共に減少しています。

認可外保育などの状況
  • (注意1)施設数・児童数は都道府県が把握した数。
  • (注意2)ベビーホテル以外の認可外保育施設については、1992年度は2月1日現在、1993年から1999年度までは各年度1月10日現在、2000年度は12月31日現在、2001年度以降は3月31日現在。
  • (注意3)ベビーホテルについては、1992年度は3月31日現在、以降はベビーホテル以外の認可外保育施設と同じ。
  • (注意4)厚生労働省のベビーホテルの定義は以下のとおり。
    認可外保育施設のうち、①夜8時以降の保育、②宿泊を伴う保育、③一時預かりのいずれかを常時運営している施設である(ただし、③については都道府県等が確認できた日の利用児童のうち、一時預かりが半数以上占めている場合をいう)。
  • 資料:厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課「認可外保育施設の現状」各年度より作成

新たな認可基準が適応されることで安全性が確保される。保育料が世帯年収によって決まるため保護者への負担が少ない。補助金の支給が受けられ安定した運営が望める。という施設が増えることによって保育所を求めている家庭と保育施設で働く保育士にとっても良い動きであると言えるでしょう。

しかし小規模保育事業においては、職員数は認可保育所よりも手厚く認可保育所の職員人数プラス1人と定められているものの、保育士人数は職員人数の2分の1以上とされるなど認可保育所よりも緩い基準が定められているという実態があります。また2016年には、「企業主導型保育事業」という、保育所の認可基準を緩めた基準をクリアすれば市町村の認可を受けなくても補助が受けられるという制度が新たに創設されました。

緩い基準を設けることで認可が受けやすくなる、補助が受けやすくなるという動きが広がっていますが、基準を緩くすることで安全性が失われるという状態に陥らないことを願うばかりです。

新たな制度によって、認可外保育施設から市町村に認可された保育施設への移行が進んでいる現在。都市部では特に、狭い敷地面積でも運営が可能な小規模保育が増えてきています。子どもの安全と健やかに育つ保育環境の確保は絶対条件として、その中で新たな制度を活用した保育施設の整備が求められているのではないでしょうか?