潜在的待機児童の増加

2017/07/24

保育所に入りたいのに希望通りに入ることが出来ない待機児童。現在待機児童が増えていることはメディア等でも頻繁に取り上げられています。育児休業等を経て、子どもの保育所入所を希望しても入所することが出来ず、復職を諦める、雇用形態の変更を余儀なくされる人も多く、大きな課題ですね。また、潜在的待機児童という言葉も聞かれますがどのような違いがあるのでしょうか。

潜在的待機児童の定義とは?

「待機児童」とは、毎年4月1日の時点で、保育所に入所する要件に該当していても、入所していない子どものことを指します。

この待機児童には、育休中で保育所入所を希望したが入れなかった子どもや、認可保育所を希望したけれど入所できず、やむを得ず認可外保育所に入所した子ども、保育所に入所できなかったという理由で求職活動を辞めた保護者の子どもは含まれません。

ですから、保育所に入りたくても入れなかったことで、最初から入所を諦めた人は、待機児童にはカウントされていないのです。

また、自治体によって待機児童のカウント方法が統一されていないのも現状のようです。

「潜在的待機児童」は、別名「隠れ待機児童」とも言われており、先述のように入所を希望しているのに待機児童として数値に現れない児童のことを指しています。

公表された待機児童の数値よりも実に多くの児童が、希望する保育所に入所できていないのです。これに関しては、以前より保護者から定義の統一を求める声が出ていました。

待機児童の定義見直し

待機児童と謳われている数よりも、実際には多くの潜在的待機児童と呼ばれる子どもたち。これらの子どもたちが、待機児童として扱われていないのに、待機児童の正しい数値が反映されていると言えるのでしょうか。そのため、厚生労働省は待機児童の新たな定義を公表しました。

新定義では、保護者が育休中で、保育所に入所できた時に復職する意思の確認ができる場合は新たに待機児童に含めるというもの。いわゆる「育休延長」も対象になるということですね。この新定義は2018年度からの適用の予定。

しかしながら、やむを得ず認可保育所を諦めて自治体が補助する認可外保育所に入所した場合や、求職を中止した場合、特定の施設のみを希望のケースは変わらず待機児童には含めないとしています。

厚生労働省によると、認可保育所に入っておらず待機児童としてもカウントされていない「潜在的待機児童」は2016年4月1日現在で、6万7千人おり、待機児童数の3倍近くに上がっています。

保育所の数を増やせば解消される?

保育所の数の問題も大きいですが、保育士の質の問題も懸念されています。

実際、保育所を開設しても、保育士が集まらないのが現状。それを補おうとして、介護福祉士と保育士の資格の一本化や准保育士の資格増設などが検討されるなど、厚生労働省が保育士不足解消に向けて検討を続けていますが、手探り不確定要素のまま保育者をやみくもに増やすのは大きな問題。

専門的知識・技術を必要とする保育士の質を、落とさないような施策を考えるべきではないでしょうか。

潜在保育士の復職を妨げている雇用条件、業務付加、処遇の問題も、真摯に取り組んで欲しいものです。



出産しても仕事を続けたい、働きたい、復職したい、そう思っている女性が保育所不足のために復職出来ないという大きな社会課題。すぐに待機児童ゼロというわけにはいかない現状がありますが、少しでも保育所を利用できる児童が増えて欲しいですね。待機児童解消のためにこれから先、保育所の増加が予想されますが、子どもの保育に使命感を持って働く、専門性の高い保育士の配置が望まれます。

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